透析室のPCT(患者ケア技術者)の適正配置

 

アメリカでは、透析に関わるスタッフのことをPCT(Patient Care Technician:患者ケア技術者)と呼ぶのですね。

最近の研究で、これらスタッフが、透析室にどれだけ配置されているかによって、患者の健康状態にどれだけ影響するかが明らかになりました。

 

透析施設におけるPCTの役割は多岐にわたります。

彼らは複雑な透析機械の操作や消毒、治療パラメーターの設定から、血管アクセスを穿刺し、患者のバイタルサインの記録までを行います。

このように、PCTは技術的なケアだけでなく、患者の安全と快適性を守るために働いています。

研究者たちは、アメリカの腎不全患者236,126人を対象に、PCTの配置レベルが患者の生存率、入院率、そして腎移植へのアクセスにどのように影響するかを調査しました。

その結果、PCTの負担が最も高い施設(つまり技術者一人当たりの担当患者の数が多い施設)では、患者の死亡率が7%増加し、入院率が5%上昇することが判明しました。

さらに、移植待機リストへの登録率が8%低下し、移植の機会が20%減少するという結果が明らかになりました。

これらの数字は、PCTの配置レベルが単なる数値以上のものであることを物語っています。

患者とPCTの比率が高いということは、一人ひとりの技術者がより多くの患者を担当し、それぞれに対して十分な時間と注意を払うことが難しくなるということです。

残念ながら、この論文では、PCTの配置レベルについての具体的な「適正な数値」や、1人のスタッフに対する理想的な患者数については直接言及していません。

この研究はあくまでもPCTの適正配置の重要性に光を当て、配置レベルが患者のアウトカムに重要な影響を与える可能性があることを示すものです。

具体的な数値やガイドラインを提供するものではありません。

ただし、この研究の結果を足がかりに、「スタッフの適正配置」というものが煮詰められていくのでしょう。

 

元論文:

Plantinga LC, Bender AA, Urbanski M, et al. Patient Care Technician Staffing and Outcomes Among US Patients Receiving In-Center Hemodialysis. JAMA Netw Open. 2024;7(3):e241722. Published 2024 Mar 4. doi:10.1001/jamanetworkopen.2024.1722