私たちの生活において塩は重要な役割を果たしていますが、その摂取量が健康に与える影響についてはよく議論されてきたものです。
今回は、食事に塩を加える習慣と慢性腎臓病(CKD)のリスクについての研究です。
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Tang R, Kou M, Wang X, et al. Self-Reported Frequency of Adding Salt to Food and Risk of Incident Chronic Kidney Disease. JAMA Netw Open. 2023;6(12):e2349930. Published 2023 Dec 1. doi:10.1001/jamanetworkopen.2023.49930
研究では、465,288人の成人を対象に、食事への塩の添加頻度とCKD発症の関係を調査しました。
参加者は、「決して」「めったに」「時々」「通常」「常に」という5つのカテゴリーに分けられ、それぞれのグループでCKD発症率を比較しました。
結果は明確でした。
塩を「時々」「通常」「常に」加えるグループは、「決して」または「めったに」加えないグループに比べてCKDのリスクが有意に高かったのです。
この関係は、年齢、性別、BMI、身体活動レベルなど他の要因を考慮しても変わりませんでした。
さらに、この研究は、塩分摂取量と推定糸球体濾過率(eGFR)の関連性も調べています。
eGFRは腎機能の指標であり、これが低いほど腎臓病のリスクが高まります。
塩分摂取量が多い人では、eGFRが低下する傾向が見られ、これがCKDのリスクを増加させる可能性を示していました。
塩分摂取量が多いと、高血圧や心臓病のリスクが高まることは広く知られていますが、CKDへの直接的な影響についてはここまで明確に示されていませんでした。
この研究により、塩分を控えることが、CKDを予防する一つの方法であることが、改めて明らかになりました。
個々の生活習慣が健康に与える影響を理解することは、病気の予防と健康増進のための政策や勧告を策定する上で不可欠となります。
また、食生活の変化が長期的な健康へ与える影響を理解することは、私たち一人ひとりにとっても重要な知識となります。
この研究は、日常生活における塩分摂取の習慣が、改めて健康に大きな影響を与えることを示しました。
