タペストリーで、繊細で緻密な模様を織り込んでいくのは、小さな糸です。
小さいことをコツコツ続ける力というのは、いつもシンプルで深遠な教訓を示してくれるものです。
例えば、菊池寛の「恩讐の彼方に」のような、こんなお話を想像してみてください。
「森を歩いている人が、道を塞いでいる大きな岩に出くわし、その岩をハンマーで削っている別の人に出会いました。歩行者は、岩に変化が見られないため、ハンマーで削る行為を無駄だと判断します。しかし、しばらくしてから戻ってくると、岩が二つに割れていました。最初は無駄に見えたハンマー打ちが、徐々に岩を弱らせ、最終的には完全に割れるまでになっていたのです。」
このお話は、行動が積み重なっていく効果について教えてくれます。
努力がすぐに結果が出るのは、むしろ稀なことです。
どんなに小さな行動でも、続けていくことで、それは大きな結果につながります。
速いペースの世界で生きている私たちは、すぐに結果を求めてしまいがちです。
しかし、本当の変化は一晩で起こるものではありません。
ジムに行くこと、新しい言語を学ぶこと、お金を節約することなど、結果はすぐには見えないかもしれません。
しかし、それが効果的でないという証拠にはなりません。
それは見える形として現れるまでの間、じっと隠れているだけなのかも知れません。
私たちはしばしば小さな行動の影響を過小評価し、それらが全体の中で無意味だと思いがちです。
しかし、時間をかけて積み重ねられたこれらの小さな行動は、重要な結果をもたらすことができます。
ところが、忘れてならないのは、この原則は両方向に働いてしまうことです。
小さな肯定的な行動が良好な結果をもたらすように、小さな否定的な行動は有害な結果をもたらします。
健康に良くない食事をしたり、無駄遣いをしたりすることは、短期的にはそれほど害がないように思えます。
しかし、これらの行動が時間をかけて繰り返されると、取り返しのつかない健康の問題や財政的な問題などを引き起こす可能性があります。
私たちの生活の質は、何を選択するのかによります。
重要なことは、選択の結果がすぐには見えないとしても、十分な時間をかければ、それらは最終的に目の前に現れるということです。
間違った方向への小さなステップも、時間をかけて望まない結果を生むことになることを忘れないでおきましょう。
どちらの方向に進むかは自分次第なのです。
