自分でも意外でしたが、夏目漱石の「私の個人主義」を初めて読みました。
正直「思ってたのと違う!」と思いました。
「私の個人主義」は、大正3年(1914年)に学習院の学生に向けて行われた講演録です。小説ではありません。
もちろん、青空文庫で読むことができます。
漱石は自分の半生を振り返りながら、個性発展の重要性を説きました。
漱石は、ロンドンでの留学中に、自分の力で文学の概念を作り上げることを試み、自己本位という言葉を手に入れて、自分の個性や意見を大切にするようになりました。
ただし、それは他人の個性や意見を無視するようなものではなく、むしろ他人の自由も尊重するような道義上の個人主義でした。
漱石は、国家的道徳や権力や金力に対しても批判的であり、個人の人格や正義を重んじました。
自己本位という考え方が自分に強い自信と安心を与えてくれたと語った漱石は、若い人たちにも自己本位を探すことを勧めています。
漱石の言う「個人主義」とは、自己の発展と他人の尊重を両立させるためのものです。
この講演録は、学生時代に読んでおきたかったなと素直に思いました。
国語の教科書に取り上げてほしかったです。
この文章を読んで、当時の私はどんなにか救われたか知れません。
