私たちが抱く日本の妖怪のイメージはほとんどが水木しげる先生の絵から植え付けられたものだと思います。
独特な線描で緻密に描かれた絵が放つ雰囲気は、おどろしいというよりも、どこか奇妙で微笑んでしまうものが多いですね。
各地に伝わる民話などから、水木先生自身がインスピレーションを得て描いていたと思っていたのですが、それは私の勘違いだったようです。
「ゲゲゲのゲーテ」(双葉新書)で、水木先生にインタビュアーが「水木先生の妖怪画は鳥山石燕などに立脚して、よりグラフィカルな具体性を提示しているように見えるのですが。」という問いかけをしました。
こんな返答をなさっています。
「そうそうそう。石燕は参考にしました。あれは立派なもんです。日本の妖怪に関しては石燕の妖怪画が基準になってるんじゃないですか。石燕は尊敬できますよ。ノーベル賞なんかをもらうべきです。妖怪は伝承があるから、創作しちゃいかんのです。妖怪は感じるものです。で、感じるものは世界共通です。日本人があっと驚くものを、エスキモーの人もやはり同じように感じる。妖怪というのは空白に見えて、実はそこに居るんです。」
「妖怪は伝承があるから、創作してはいけない」
鳥山石燕は江戸時代中期の画家であり浮世絵師です。浮世絵師としての弟子は有名なところでは喜多川歌麿などがいます。代表作は妖怪画集の「図面百鬼夜行」
ネットで拾ってみて、驚きました。水木しげる先生が描くような妖怪がそこにいます。特に「ぬらりひょん」なんか、そのまんまです。
というよりも、日本の妖怪に姿を与えたのは鳥山石燕だったのですね。
妖怪について、知れば知るほど奥が深いです。
「ぬらりひょん」

「ろくろ首」

「かわうそ」
