この本は、アメリカの心理学者アブラハム・マズローの著書「人間性の心理学」を軸に、マズローが語る「自己実現」についてのまとめを行っているものです。
マズローは「欲求階層」の提唱者として有名ですね。
有名な5段階の欲求のピラミッドの図はどこかで目にしたことがあるはずです。(確か以前にこのブログでも取り上げました)
下層から生理的欲求、安全の欲求、社会的欲求、承認欲求、そしてピラミッドの頂点に位置するのが自己実現の欲求です。
この「自己実現の欲求」を満足させた人間=自己実現者のもつ特徴について語った箇所がありました。以下の15個の特徴です。
1)「無邪気な目」を通してあるがままの世界を見る
2)自他に対する本質的な受容性
3)真の倫理観にもとづく自発的な生き方
4)広い視野に伴う使命感
5)孤独という強さをもった自律心
6)外部的要因からの独立
7)新鮮でイキイキとしたものの見方
8)至高体験が多い
9)すべての人々への一体感
10)愛情深い人間関係
11)誰に対しても尊敬の念を抱き、相手を無条件に尊重できる
12)「善悪」や「手段と目的」の区別と統合
13)哲学的で教育的なユーモアセンス
14)天真爛漫な子どものような純粋な創造性
15)社会との適切な距離感
本文中で著者も言っていますが、15個の羅列を読んだだけではマズローが語ろうとしている真意は理解できないでしょう。
ぱっと見で、これらの項目に合致した人間というのは「善人」のイメージが浮かびますし「こんな人間いるわけがない」とも思ってしまいます。
けれども、決してそうではないと述べています。自己実現者の人間味について、マズロー自身はこう語っているのです。
「(自己実現者の人々は)実際、非常に善良であり偉大でもある。事実、創造者、予言者、賢人、聖者、偉人、動かす人が存在する。たとえこのような人たちが非凡で、まれではあっても、そのような人たちの存在は確かに我々に人間の未来に対する希望を与えてくれる。それでも、これら同じ人たちが時にはつまらなく、いらいらさせる人間であったり、気むずかしく、自分勝手で怒りっぽかったり、またふさいだ人間であったりすることもある。人間性に幻滅するのを避けるために、我々はまず幻想を捨てなければならない。」
マズローの著書を読んで、学んでみたくなりました。