この本は、詩人まど・みちおさんがふるさとの小学校の子どもたちに送った手紙をまとめたものだそうです。
この手紙が書かれたのは1994年5月。まどさんが84歳のときのこと。
こんな文章から始まります。
…わたしも ちからいっぱい
がんばるつもりですが
わたしは もう
八十四さいの としよりです。
どんなに がんばっても
たいしたことは できません。
としよりだからたいしたことができないと言うまどさんには、小学校にあがったばかりの子ども達に託したいことがありました。それが、この手紙のテーマと言えます。
続けて、子ども達にわかるような優しい言葉で、今地球に起こっていることを述べています。
世界にはびこる飢餓問題、絶えることのない戦争、人間以外の動物や植物の絶滅の危機など…。
そして、まどさんはこう言いました。
みんな
いまの おとなの ちからでは
それらを なおしきれないのです。
こまっているのです。
子ども達に向かって、こうお願いします。この2行の言葉は、真剣で、切実で、胸にぐっと響いてきます。
ちきゅうぜんたいを
すくって ほしいのです。
ご存じのように、まどさんは100歳になっても詩を書き続けた方です。
子ども達にわかる言葉で綴られた、まどさんの詩は、いつもたいせつなことを伝えてくれます。