基本は「無常」

 

万物は全て変化し続けます。

平家物語の冒頭の一文にも「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり」とあります。

「祇園精舎の鐘の音は世の中に不変のものはないという風に聞こえる」という意味です。

仏教の三法印とは「諸行無常」「諸法無我」「涅槃寂静」であり、最も重要な根本思想とされています。

それだけ、この世で生活するならば「無常」を肝に銘じよ、ということなのでしょう。

  

ところで、自分に降りかかるトラブルは、誰でもとにかく嫌いです。トラブルを引き起こすかも知れない変化(≒アクシデント)はできるだけ避けたいと思っています。

ディズニー・シーのマジックランプシアターの舞台で、シャバーンの有名なセリフがありますね。

「サプライズにはアクシデントがつきもの」

そうは言ってもです。

やはり、現実の生活では、平穏無事が良いですし、ぬるま湯でも、安心・安全が一番だと思ってもいます。

とにかく、バタバタするのは面倒くさくて御免蒙りたいのです。

しかし、よく考えてみると「諸行無常」とは、この世のものはたえまなく変化し続けているという事実を、シンプルに述べただけの言葉です。

言い換えるなら、エントロピー増大の法則みたいな定義を、ただ客観的に述べたようなものです。

その事実に、私たちが勝手に意図を乗せているだけの話です。

事実は事実として、もうあきらめて認めるしかないでしょう。

「無常」を認めたら、「今」をシンプルに積み重ねていくのが、一番ラクです。

調子が悪くても、好調でも、長くは続かない(はず)。それが無常。

 

医療の現場では、そこで起こる問題は、たいていが「マイナスのこと」です。

ですから、マイナスであるかプラスであるかを考えるのはあまりしないことにしています。

まずやるべきことは、事実を事実として受け止め、「さて、どうするか」と最善の方策を考えて、行動すること。

その根本思想に「諸行無常」があります。