テレビで紹介されていたのを、偶然に通りかかって見たのが、この本を知るきっかけでした。
急峻な崖や山の斜面にへばりつくように建てられた寺院建築を「懸けづくり」と呼ぶようですが、そんな日本全国の「絶壁建築」を10年余にわたって探訪し、100選にまとめあげたのが、この本なのだそうです。
著者の飯沼義弥さんは「はじめに」の中でこうおっしゃっています。
「私が懸造りの世界に魅了されたきっかけは、『なんでこんな場所にこんなモノを建てなきゃいけないの?』という純粋な疑問でした。
その厳しい立地条件や奇抜な外観についていろいろと調べていくにつれ、その場所で神仏と一体になりたいという先人たちの熱い信仰心や、信者のためになんとしてもそこへお堂を建てよう!という建築への執念のようなものが垣間見えてきて、すっかり虜になってしまったのです。」
写真を見ると、どの寺院も秘境と呼ぶにふさわしい山岳部に建築されています。
これらの寺院を実際に訪れ、写真におさめるだけでもすごいことだと思いますし、著者の熱意に脱帽しました。
私の勝手なイメージですが、「日本の山深く」「寺院」などのワードからは、山伏などの修験者が修行を行っている厳かなイメージがあります。
ですから、沖縄には無縁だろうと思っていましたら、最後のページにはうちのクリニックのご近所にある末吉宮拝殿が掲載されていました。
「あ、そうかも」
身近にあることが、見えなかったりするのですね。
(下の写真はこの本からではなく、Wikipediaから「末吉宮 拝殿」)