「オーディオブック」というジャンルに、なかなか慣れませんでした。
「アメリカでは長距離の自動車運転が多いので、カーステレオで聴くことができる『オーディオブック』が普及している」ということを聞いたことがあります。
けれども、そうかもしれないなあとは思っても、それ以上の関心はありませんでした。
私には多少「日本は文字言葉の国、アメリカは話し言葉の国」という偏見(?)があって、そのせいかも知れません。
そういえば、私はカーラジオは聞いても、Podcastは聞かないです。
なぜだろうと考えてみたのですが、おそらく「聞くこと」は「流す」もので、「留める」ことができないと思っているからだと思い当たりました。
本を読むと、心に留めておきたい箇所に必ず出会います。そうでなくても、ざっと読んで理解できなければ、何度も同じ個所を読み返したりします。
読む速度に強弱をつけたり、ある時は1、2ページ前に戻ることさえあります。
それが私の読書スタイルで、一方で一定の速度で「流しっぱなし」をしているのがオーディオブックです。
「ん?今、なんて言った?」
「おおっ、なんかいい話を聞いた気がするんだけど、聴き逃してしもうた!」
そう思っても簡単に戻すことができないのです。
アプリによっては、10秒巻き戻しとか先送りとかあるのですが、どうも探す手間がかかります。
そういうオーディオブックに苦手意識(?)を持っている私が、「ながら作業」の時にいつもの音楽をかけるのではなくて「オーディオブック」をかけてみたのは、ほんの気まぐれからでした。
何の気なしに、乃南アサさんの「しゃぼん玉」を聞いてみました。
聞いてみると、それが面白いのです。
面白くて、本筋の作業が3倍遅れてしまいました(笑)。
映画とは違います。もちろん脚本ではありませんから、ラジオドラマ風な展開はありません。BGMもなしです。
あくまでも原作の朗読ですが、物語の世界にどっぷりと引きずり込まれてしまいました。(「しゃぼん玉」そのものの内容は後日触れることにしますね。)
映画のように情景が目の前に浮かんでくるのです。
iPadで聞いていたのですが、トイレ中断ももったいなくて、トイレに持ち込んで聞いていました。
こういう「読書」もいいかも知れないと思いました。ちょっとハマりそうです。
今は、ダン・ブラウンの「インフェルノ」を「聞いて」います。