「菜根譚」にこんな言葉があります。
「心が澄んでいれば体にもよい」
こういう訳です。(守屋洋訳)
「心が澄みきっているときは、腹がへれば飯を食い、喉がかわけば水を飲むという質素な生活に甘んじていても、心身ともに健康を損なうことはない。」
お腹が空いたら、食事を摂る。喉が渇いたら水を飲む。
当たり前のことのようですが、現代に生きる我々は、残念ながら自分の体の声に耳を傾けていないことが多い気がしています。
体が疲れたら、体を休める。眠くなったら、無理をせず眠る。
その単純なことができずに、「疲れがとれない」という訴えで外来を受診される方が、時々います。
「疲れをとるためにビタミン剤を射ってほしい」
「なんでこんなに疲れているのかわからない」
お話を伺うと、疲労があって当然の、たくさんのストレスにさらされた生活を送っています。
「話を聞いただけで、疲れて当たり前だと思うのですが?」
ストレスにあまりにも長くさらされているので、心が体の変調をまともにキャッチできなくなっているのです。
最近は、ビタミン注射を準備することが、この方たちにとって本当に良いことなのかと悩むようになってきました。
ビタミン剤などよりも休養が必要なのではないか?ビタミン剤で見せかけの元気を与えることは、余計に大きなパンクを引き起こすことになるのではないか?という懸念を感じているのです。
できるだけストレスをためずに、澄み切った心で、もっと体の声を聞いてほしい。
そう思います。