広島への移動の行き帰りの新幹線の車中で、タブレットで鑑賞しました。
ウディ・アレン脚本・監督の「ミッドナイト・イン・パリ」(2011年)です。
観終わった後、楽しい時間を過ごした満足感を味わいました。面白い映画を鑑賞した後特有の満足感です。
荒唐無稽なお話には違いないのですが、良質なファンタジー小説を読んでいるような感覚でした。
婚約者に現実ばなれした懐古趣味を揶揄される男性ギル(オーウェン・ウィルソン)が主人公です。
ある日、夜中にパリで迷子になった彼が、深夜12時の鐘が鳴る時にタイム・スリップしてしまいます。
その「スリップ」の仕方がさりげないのです。あまりにさりげないので、しばらくタイム・スリップしたことを本人はもちろん、観ている観客も気づかないほどです。
彼がタイムトラベルした行き先は、それこそ世界の文化の中心だったゴールデンエイジ(1920年代)のパリでした。
そこはアーネスト・ヘミングウェイやピカソ、ダリなど、それこそ一時代を築いた芸術家たちが集う場所でした。
ギルは夜ごと、その1920年代のパリを訪れることになります。
昼間は2010年の実生活に戻って現実の厳しさを突きつけられながら、婚約者とのすれ違いに苦虫を噛みしめる。そして、夜は彼の憧れの時代で自分の大切なものを明らかにしていく。
その末に彼がくだした結論は、誰もが納得する大人の判断だったとも言えます。
映画のラストが、本当の魔法だったのではないかと思う素敵なシーンでした。
おそらくこの映画は、監督のウディ・アレンさんの趣味が満開しています。
庵野監督が「好きな人が気づけばいいや」ぐらいの気持ちで些細なヒントをあちこちにちりばめたように、この映画もウディ・アレンさんの小ネタがあちこちにちりばめられています。
これを機会にウディ・アレンさんのほかの映画も観たくなりました。