スマホアプリの活用:ショッピングモールでウォーキング

 

今回は、スマートフォンを活用してショッピングモール内でのウォーキングを推し進めた健康促進プログラムの成果についてのお話です。

ウォーキングは私たちの健康維持に不可欠といってもよいほど基本的な運動ですが、忙しい日常や都市部の環境問題、さらにはパンデミックによる外出制限などが原因で、多くの人が十分な運動を取り入れられずにいるのが現状です。

そんな中、ショッピングモールを利用した革新的な取り組みが注目されています。

今回の研究は、千葉大学予防医学センターとイオンモールが協力して、スマホ・アプリのウォーキング・プログラムがどのように日常生活に変化をもたらすかを評価しました。

この研究は日本の全国規模で行われ、18歳以上の217,344人のスマホ・アプリユーザーを対象に、2021年1月から12月までの歩数データを収集しました。

面白いのが「Mall Challenge」と名付けられたこのプログラムが、GPS機能を活用し、参加者が目標とする毎日1000歩を達成すると、抽選でショッピングポイントが付与されるシステムです。

これはまさにウォーキングをゲーム感覚で楽しむことができる工夫と言えるでしょう。

研究の結果、プログラム参加日は非参加日に比べて平均で1219歩多く記録されました。

この効果は、都市部、郊外、そして大規模モールが特に顕著で、ショッピングモールの規模と位置によって歩数に差が出ることが示されました。

また、性別や年齢層による違いも明らかになり、女性や65歳以上の高齢者が特に多くの歩数を記録しています。

この研究からは、テクノロジーと健康推進の可能性が見て取れます。

スマートフォンと連動した健康促進プログラムは、単なる運動の促進だけでなく、参加者に対して新たな動機付けを提供し、日常生活における活動的なライフスタイルへと導く一助となることでしょう。

特にパンデミック後の社会において、安全な場所での運動の機会を提供することは、公衆衛生にとって重要な課題の一つです。

しかし、このようなプログラムが全ての人に等しくアクセス可能であるわけではないことも、研究は指摘しています。

地理的なアクセスや、技術的な要素への適応が課題となる場合もありますが、「デジタルとフィジカルの融合」はこれからの健康促進策において大きな可能性を秘めていると言えますね。

 

元論文:

Matsuoka Y, Yoshida H, Hanazato M. A Smartphone-Based Shopping Mall Walking Program and Daily Walking Steps. JAMA Netw Open. 2024;7(1):e2353957. Published 2024 Jan 2. doi:10.1001/jamanetworkopen.2023.53957