「ドゥーム・スクローリング」

 

「ドゥームスクローリング」という言葉があります。

この言葉は、「悲惨な」「破滅的な」という意味の「doom」と「スクロールする」という意味の「scrolling」を組み合わせた造語です。

これは、SNSやニュースサイトなどで、ネガティブなニュースばかり、情報ばかりをいつまでも次々と見てしまうことを指します。

例えば、以下のような行為に心当たりはありませんか?

〇 いつまでも暗いニュース記事を読み続けてしまう

〇 事故や災害などの悲惨な映像を見続けてしまう

〇 社会問題や政治問題に関するネガティブな投稿を次々と見てしまう

ドゥームスクロールは、近年、SNSの普及により、多くの人が経験するようになりました。

言われてみれば、実は私もそうしているかも知れません。

なぜ人はドゥームスクロールしてしまうのでしょうか?

いくつか考えられる心理的なメカニズムがあります。

「ネガティブ情報の認知バイアス」: 脳は、ポジティブな情報よりもネガティブな情報に注意を向けやすく、記憶しやすいという性質があります。これは、生存本能の名残と考えられています。そのため、ネガティブなニュースや情報は、目に留まりやすく、記憶に残りやすいのです。

「社会的つながりへの欲求」: 人間は、社会的な動物であり、他人とのつながりを求める欲求を持っています。SNSでは、友人や家族とつながることができますが、同時に、見知らぬ人たちの投稿も目にすることになります。中には、悲惨な体験や意見を投稿している人もいます。このような投稿を見ることで、自分自身も社会の一員であることを実感するのです。しかし、同時に、不安や恐怖を感じてしまうことがあります。

「無知への恐怖」: 私たちは、常に新しい情報を知りたいという欲求を持っています。これは、変化の激しい現代社会において、生き残るために必要なことです。しかし、同時に、情報過多の時代においては、すべてを知ることが難しいという現実もあります。そのため、自分が知らない間に、何か恐ろしいことが起こっているのではないかという不安を感じてしまうのです。ドゥームスクロールは、このような無知への恐怖を解消しようとする行動の一つと言えるかも知れません。

ドゥームスクロールがもたらす悪影響は、以下のようなものが指摘されています。

「不安やストレス」: 当然ですが、ネガティブな情報ばかりに触れていると、不安やストレスを感じやすくなります。

睡眠障害: 寝る前にスマホやパソコンを見ると、ブルーライトが脳を刺激し、睡眠の質が低下する可能性があります。

うつ病: 重度の場合は、うつ病などの精神疾患につながる可能性もあります。

情報への偏り: 特定の視点からの情報ばかりに触れていると、情報への偏りが生じ、客観的な判断ができなくなってしまう可能性があります。

ドゥームスクロールを避けるためには、以下のような対策が有効と言われています。

(有効ですが、いつものように、実践できるかどうかが問題です。)

「スマホやパソコンの利用時間を制限する」: 一日にスマホやパソコンを見る時間を決めておくことで、単純にドゥームスクロールしたくてもできないようにするのです。

「寝る前はスマホやパソコンを見ない」: 寝る前は、スマホやパソコンではなく、本を読んだり、音楽を聴いたりするなど、リラックスできることをやり抜くのです。(何度挫折したことでしょう。)

「フォローするアカウントやニュースサイトを厳選する」: ネガティブな投稿が多いアカウントやニュースサイトは、フォローを解除しましょう。この対策が一番実践可能かも知れません。

「ポジティブな情報に触れる」: ポジティブなニュースや情報に触れるように意識しましょう。だから大谷翔平選手の活躍はみんなの「癒し」になっているのでしょうね。

ドゥームスクロールは、現代社会における新しい問題の一つと言われています。

自分自身の情報環境を意識的にコントロールすることで、ドゥームスクロールの影響を最小限に抑えることが重要です。