「座らない」というだけで効果がでる

 

私たちの日常生活は、さまざまな習慣によって形成されています。

特に高齢になると、健康を維持するための新しい習慣を取り入れることは容易ではありません。

ワシントン州で行われたある研究が、高齢者の健康促進に向けた新たな道を示しています。

それは、単に座る時間を減らすことの効果を検証したものでした。

この研究は、60歳から89歳の高齢者283人を対象に、2019年1月から2022年11月にかけて行われました。

参加者は、日常的に多くの時間を座って過ごす人々で、身体活動の少なさが心血管健康への懸念を招いていました。

研究チームは、参加者を2つのグループに分け、一方には座る時間を減らすための具体的な介入を施し、もう一方には一般的な健康生活に関する注意を向ける対照条件を設定しました。

介入グループの参加者には、10回のコーチングとともに、座る時間を減らすための具体的な目標設定、立ちデスクの提供、フィットネストラッカーを用いた座位を中断させる工夫が導入されました。

これらの工夫は、参加者が自らの座位行動を見直し、より健康的な生活様式へと導くためのものです。

研究の結果は、座る時間を意識的に減らすことの有効性を明確に示しました。

介入グループでは、平均で1日当たり30分以上座る時間が減少し、これが血圧の低下にもつながりました。

特に、収縮期血圧が平均で3.48mmHg低下したのです。

これは、座る時間を減らす単純な行動変化が、高齢者の心血管健康改善に有益な影響を与える可能性を示しています。

そして、この研究が示すのは、決して大げさな行動変革が必要ではないということです。

日常生活の中で小さな変更を加えることで、血圧を改善し、より健康的な生活を送ることが可能になりました。

これは、高齢者に限らず、すべての人にとって有益な情報で、日々の生活の中で簡単に実践できる健康へのアプローチと言えるでしょう。

 

元論文:

Rosenberg DE, Zhu W, Greenwood-Hickman MA, et al. Sitting Time Reduction and Blood Pressure in Older Adults: A Randomized Clinical Trial. JAMA Netw Open. 2024;7(3):e243234. Published 2024 Mar 4. doi:10.1001/jamanetworkopen.2024.3234