一般の方には馴染みが薄いはずですが、重症度スコアというものがあります。
代表的なものが、敗血症関連臓器不全評価スコア(SOFA)やオックスフォード急性疾患重症度スコア(OASIS)と呼ばれるものです。
SOFAスコアは、主に敗血症の患者に対して、臓器不全などの程度を評価するために用いられます。
SOFAスコアが高いほど、臓器不全の程度が重く、予後が悪いことを示します。
一方で、OASISは急性疾患の重症度を評価するために設計されたスコアです。
これは入院時の患者の状態を反映し、重症度と予後を推定するために用いられます。
では、なぜスコア化する必要があるのでしょうか。
これらは、治療の優先順位や介入の必要性を判断するための基準として利用されたりします。
例えば、SOFAスコアが急速に上昇する患者は、即座に集中治療が必要な可能性が高く、この情報は医療チームが迅速に対応するための重要な指標になります。
つまり、患者ケアを科学的かつ包括的にアプローチするために利用するのです。
もちろん、実際の現場では、スコア化された数字のみで判断するわけではありません。
正確な評価と効果的な治療方針のためには、これらのスコアを他の臨床的情報や患者の全体的な状況と組み合わせる必要があります。
…というわけで、ここからが本日の本題です。
今回は、SOFAやOASISとは違った、新しいスコアシステムを提案した研究の紹介です。
この研究では、集中治療室(ICU)での冠状動脈疾患(CHD)患者の予後を見極めるために、血中尿素窒素(BUN)と血清アルブミンの比率(BAR)を取り上げていました。
この指標は患者の栄養状態、脱水症状、肝機能、そして最も重要な腎機能を包括的に表したものです。
院内死亡、28日死亡、1年死亡の3つの主要な成果指標を測定したところ、BARはこれらすべてにおいて有効な予測因子であることが確認されました。
特に1年死亡率において、BARは敗血症関連臓器不全評価スコア(SOFA)やオックスフォード急性疾患重症度スコア(OASIS)よりも優れていました。
しかし、スコアシステムそれぞれに特徴があり、評価する目的が違います。
これらを総合して判断し、重症の患者に対してどう治療を施すのか、医療者にとってはそれこそが常に問題となります。
元論文:
Zhang L, Xing M, Yu Q, Li Z, Tong Y, Li W. Blood urea nitrogen to serum albumin ratio: a novel mortality indicator in intensive care unit patients with coronary heart disease. Sci Rep. 2024;14(1):7466. Published 2024 Mar 29. doi:10.1038/s41598-024-58090-y