甘い飲み物と慢性腎臓病の発症リスク

 

「甘いもの」を取りすぎると、「体に良いことなさそう」と、何となく思いますね。

特に、甘い飲み物は、気軽に手に入る分だけ、その影響は決して小さくありません。

イギリスで行われた、この研究は、その甘い飲み物に焦点をあてて、慢性腎臓病(CKD)にどれだけ影響を与えるかを調べたものです。

慢性腎臓病は世界中で増加しており、早期に予防策を講じることが重要です。

そこで、この研究は、飲料の選択がどのように私たちの腎臓の健康に影響を与えるかを明らかにしようと試みました。

まず、甘い飲み物を3つに分けました。

1)砂糖入り飲料

2)人工甘味料入り飲料、

3)100%果汁飲料

総計127,830人の、慢性腎臓病の既往のない人々が参加者です。

平均追跡期間10.5年の間に、4459人(3.5%)が慢性腎臓病を新規に発症しました。

砂糖入り飲料を1日に1回以上摂取する人々は、そうでない人々と比較して、慢性腎臓病を発症するリスクが高まることが判明しました。

一方で、100%果汁飲料は、発症リスクと関連は見られませんでした。

さらに、人工甘味料入り飲料の摂取もCKDのリスク増加と関連しており、砂糖入り飲料からこれらの飲料への置き換えがCKD予防に役立つわけではないことが示されました。

逆に、砂糖入り飲料を100%果汁飲料や水で置き換えることは、慢性腎臓病のリスクを若干ですが有意に低下させることがわかりました。

この研究から得られるのは、私たちの飲料選択が腎臓の健康に長期的な影響を与える可能性があるということです。

特に、砂糖入り飲料や人工甘味料入り飲料の過剰な摂取は避け、代わりに100%果汁飲料や水を選ぶことが推奨されます。

これは、健康的な生活習慣を促進し、慢性腎臓病のリスクを減らすための簡単ながら効果的な方法です。

しかし、この研究には限界もあります。

その観測的な性質上、因果関係を確立することはできません。

また、飲料の摂取量や種類の自己報告には誤差が生じる可能性があります。

それでも、この研究は、私たちの日常生活の中で簡単に見過ごされがちな選択が、健康、特に腎臓の健康に長期的な影響を与えることを示しています。

結局のところ、健康への道は日々の小さな選択から成り立っています。

私たちの飲み物がただの喉の渇きを潤すものではなく、健康や病気のリスクを形作る要因の一つであることを理解することは、より良い生活習慣への一歩となるでしょう。

 

元論文:

Heo GY, Koh HB, Park JT, et al. Sweetened Beverage Intake and Incident Chronic Kidney Disease in the UK Biobank Study. JAMA Netw Open. 2024;7(2):e2356885. Published 2024 Feb 5. doi:10.1001/jamanetworkopen.2023.56885