呼吸が強化する睡眠中の記憶

 

今日紹介するのは「呼吸が強化する睡眠中の記憶」というテーマについてのお話です。

睡眠は、もちろん身体の休息だけではありません。

脳はこの時間を使って、日中の出来事や学んだことを整理し、記憶として定着させています。

研究者たちは、人間の記憶の再活性化と睡眠時の脳波の関連性を探るために、一風変わった実験を行いました。

まず、被験者20名に暗記の課題をさせて、その後昼寝をさせました。

睡眠中に、被験者の脳波と呼吸を記録しました。

その結果、呼吸が睡眠中の脳波のパターンに影響を及ぼすことが判明しました。

具体的には、吸気のピーク時にゆっくりとした振動とスピンドル(睡眠中の特定の脳波パターン)の相互作用が増加することが観察されました。

また、これらの振動と呼吸のカップリングの強さが、記憶の再活性化の度合いと関連していることも分かりました。

睡眠中の記憶強化プロセスは、単に脳内で起こる現象ではなく、身体の他の機能、特に呼吸と密接に結びついていたというわけです。

今後は、その呼吸と睡眠の関連を利用して、記憶の強化方法が開発されるかも知れませんね。

 

元論文:

Schreiner T, Petzka M, Staudigl T, Staresina BP. Respiration modulates sleep oscillations and memory reactivation in humans. Nat Commun. 2023 Dec 18;14(1):8351. doi: 10.1038/s41467-023-43450-5. PMID: 38110418; PMCID: PMC10728072.