ファビングの影響

 

カフェの隅で、スマートフォンに見入る若者たちがいます。

彼らは、対面での会話よりも画面上のメッセージに夢中です。

これは、今や日常で普通にみられる光景ですが、これが「ファビング」と呼ばれる行為です。

「ファビング(Phubbing)」とは「phone snubbing = 電話スナッビング」を略した造語です。

Snubbing とは、英語で「鼻であしらうこと、ひじ鉄砲、冷遇、無視、拒否する」という意味。

つまり、他人との対面でのやり取りよりもスマートフォンを優先する現象です。

ファビングを行う人は、他人との付き合いを無視してスマホの画面に集中しています。

その結果、「ファッビー」と呼ばれるファビングの対象となった人は、無視されている、または重要とは思われていないと感じる可能性があります。

一見、些細なことのように思えますが、この行為が私たちの心と生活に深く関わっていることを、ルーマニアの研究者たちが明らかにしました。

 

元論文はこちら→

Maftei A, Măirean C. Put your phone down! Perceived phubbing, life satisfaction, and psychological distress: the mediating role of loneliness. BMC Psychol. 2023;11(1):332. Published 2023 Oct 12. doi:10.1186/s40359-023-01359-0

 

この研究は、18歳から77歳までの720人の成人を対象に行われました。

彼らは、ファビングの経験、孤独感、生活満足度、心理的ストレスについてのアンケートに答えました。

結果は予想通りなものでした。

ファビングは孤独感と強く関連し、それが心理的ストレスや生活満足度に影響を与えていました。

スマートフォンの画面に夢中になることで、私たちは自分自身を孤独にし、心の健康に影響を及ぼしているわけです。

では、私たちはこのデジタル時代にどう向き合えばいいのでしょうか。

スマートフォンは便利ですが、その画面に映る世界に夢中になりすぎると、目の前の大切な人とのつながりを失ってしまいます。

ファビングは個人的な行動であると同時に、社会的な現象でもあります。

私たちの行動一つ一つが、心理的健康や人間関係に波及するのは当然のことと言えます。

この研究から私たちが学ぶべきことは、スマートフォンを手放し、目の前の人と真剣に向き合うことの大切さです。

デジタルの世界で得られるつながりは、リアルな人間関係に代わるものではありません。

スマートフォンを一時的に置いて、目の前の人の話に耳を傾けることで、私たちはもっと充実した人生を送ることができます。

それは、デジタルと非デジタルの世界のバランスを取る鍵です。