笑い療法:コルチゾール濃度に与える効果

 

古くから「笑いは最高の薬」と言われていますし、笑いを医療の現場に持ち込んだ「パッチ・アダムス」の例を挙げるまでもなく、今や笑いが心身の健康に良いというのは常識です。

笑うこと、喜ぶことが、免疫力を高め、病気の回復にも好影響を及ぼすのは、実際に身近に経験することですね。

今回紹介する論文は、「笑い療法」に科学的な根拠を添えたものになります。

 

元論文はこちら→

Kramer CK, Leitao CB. Laughter as medicine: A systematic review and meta-analysis of interventional studies evaluating the impact of spontaneous laughter on cortisol levels. PLoS One. 2023;18(5):e0286260. Published 2023 May 23. doi:10.1371/journal.pone.0286260

 

この研究では、「笑い」の効果を評価するために、コルチゾール濃度に着目しました。

コルチゾールは、副腎皮質から分泌されるホルモンの一つです。

ストレスを受けたときに、脳からの刺激を受けて分泌が増えることから「ストレスホルモン」とも呼ばれています。

「笑い」が、ストレスホルモンであるコルチゾール濃度に、どう影響するかを調べたのです。

この研究は、そのためにシステマティックレビューとメタ分析を行いました。

対象となったのは、ランダム化プラセボ対照試験(RCTs)または準実験的研究で、成人を対象に行われた研究を集めました。

結果として、8つの研究(参加者315名、平均年齢38.6歳)が選定基準を満たしました。

これらの研究は、コメディビデオを視聴して「笑い」の影響を評価した5つの研究、「笑い療法士」による「笑いセッション」で評価した2つの研究、「自己管理型笑いプログラム」(?)を評価した1つの研究でした。

これらのデータをプールした結果、笑うことによってコルチゾール濃度が31.9%も有意に減少したことが示されました。

さらに、たった1回の「笑いセッション」でもコルチゾールが36.7%も有意に減少することが示されました。

(個人的には、どんなセッションだったかが知りたいです。笑)

また、プラセボ群と比較して笑いがコルチゾールを減少させる効果が確認されました。

ストレスを感じたり、嫌なことがあったら、落語を聞いてバカバカしく笑う…というのは、ちゃんと理にかなっていたというわけです。

これは、笑いが心身の健康に良い影響を与えることを、さらに支持する証拠となります。