記憶の迷路を解く鍵はストロベリー?

 

私も普段からフルーツには目がないほうです。

特に、赤くて鮮やかなストロベリーは、スイーツとしてなくてはならない存在ですね。

この小さな果物が、実は認知機能に良い影響を与える可能性があるかも知れません。

そんな報告がありました。

 

元論文はこちら→

Krikorian, R.; Shidler, M.D.; Summer, S.S. Early Intervention in Cognitive Aging with Strawberry Supplementation. Nutrients 2023, 15, 4431. https://doi.org/10.3390/nu15204431

 

では、一体どのような影響があるのでしょうか。

研究者たちは、インスリン抵抗性と主観的な認知機能の低下を持つ中年の男女を対象に、12週間にわたるストロベリーサプリメントの摂取実験を行いました。

具体的には、果実100%のストロベリーパウダーを毎日投与。

その結果、ストロベリーを摂取したグループでは、記憶の干渉が減少し、抑うつ症状も減少したのです。

「記憶の干渉」とは何かというと、新しい情報が古い情報と混ざってしまい、正確な記憶が困難になる現象です。

この干渉は主に二つのタイプに分類されます。

前向き干渉(Proactive Interference): これは、以前に学習した情報が新しい情報の学習や記憶に影響を与える現象です。例えば、古い住所や電話番号が、新しいものを覚える際に邪魔をすることがあります。

後向き干渉(Retroactive Interference): これは新しく学習した情報が、以前に学習した情報の記憶に影響を与える現象です。例えば、新しいパスワードを設定した後、古いパスワードを思い出せなくなることがあります。

このような記憶の干渉が起きると、情報の整理や取り出しが難しくなり、認知の効率が低下します。

特に高齢者や認知機能に問題を抱える人々にとっては、この現象は非常に重要な問題となり得ます。

この現象が減少したということは、要するにストロベリーが「思考の整理係」をしてくれたとも言えます。

一方で、この研究にはいくつかの制限もありました。

例えば、代謝に関する指標には大きな変化が見られませんでした。

これはサンプルサイズや介入期間、または使用されたアントシアニン(色素成分)の量が影響している可能性があります。

さて、この研究が示唆するのは、もしかしたらストロベリーが認知機能の「サポート役」になるかもしれない、ということ。

ただし、研究はまだ初期段階ですので、ストロベリー摂取で賢くなれるわけではありませんよ。

でも、次にストロベリーを手に取るときは、少しだけその可能性を思いながら味わうのも楽しみになるかもしれませんね。