最近、『Nutrients』誌で、エナジードリンクの摂取が人間の健康、特に心血管系と神経系にどのような影響を与えるかについてのレビューが掲載されていました。
元の論文はこちら→
Costantino, A., Maiese, A., Lazzari, J., et al. (2023). The Dark Side of Energy Drinks: A Comprehensive Review of Their Impact on the Human Body. Nutrients 15(3922).
https://www.mdpi.com/2072-6643/15/18/3922
結論から言えば、エナジードリンクの健康リスクについての警鐘です。
現在、エナジードリンクは、コンビニや自販機などで広く購入できるようになり、特に若者の間で人気です。
これらのドリンクは、集中力や身体的なパフォーマンスを向上させたい時などに利用されています。
けれども、これらの利点は短期的なもので、長期的な健康への影響はまだ不明です。
エナジードリンクには通常、大量のカフェイン、添加糖、およびグアラナ、タウリン、L-カルニチンなどの合法的な刺激剤が含まれています。
エナジードリンクの普及によって、1977年から2009年の間にカフェイン摂取量が最大70%増加したというデータがあります。
最近の報告によれば、エナジードリンクを摂取した後に、消化器系の障害や脱水などの症状によって医療機関を受診する人が増加しているのだそうです。
さらに重篤な結果として、脳卒中やエナジードリンク関連の死亡事例も報告されているのです。
2009年1月5日から2023年4月30日までに公開された原著研究論文や症例報告/シリーズを調査した結果、96件の科学論文が分析に含まれ、そのうち35件、12件、18件、7件、2件がそれぞれ心臓、胃腸、神経、腎臓、婦人科、自己免疫、皮膚系におけるエナジードリンク摂取の影響を報告しています。
心停止が9件報告されており、エナジードリンクの過剰摂取が主に心室細動などの不整脈を引き起こすとみなされています。
いくつかの症例では、250mLのエナジードリンクを数缶摂取した後に、既往症のない人が心臓イベントを誘発させていました。
ほかにもエナジードリンクに含まれるカフェインが、血圧に影響を与えます。
カフェイン100mgごとに収縮期/拡張期血圧が、それぞれ 0.8/0.5mmHg 上昇します。
以前から、心房室伝導障害を持つ人々がカフェインを摂取すると、不整脈を誘発するということがわかっています。
また、エナジードリンクの高カフェイン含有量は、中枢神経系(CNS)に有害な影響をもたらし、これには発作、躁病性精神病、脳血管病が含まれます。
500mg未満のカフェインは、警戒心が高まり、思考と会話のスピードがあがり、疲労の減少、短時間の睡眠ですむなどの影響を与えます。
ただし、カフェインが高用量になると、不安や不眠症、振戦、発作に寄与する可能性があります。
また、エナジードリンクの慢性摂取は、ストレス、不安、およびうつ病と関連しています。
エナジードリンクの長期的な影響の詳細は不明ですが、その摂取は未成年者の精神病理や心臓伝導障害の悪化を引き起こす可能性があります。
したがって、「エナジードリンクは合法的な物質を含んでいるが、その消費と販売は特に未成年者に対して厳格に規制されるべきである」と述べています。
妊娠中または授乳中の女性も、未来の子供にエナジードリンク摂取の長期的な有害な影響を避けるため、これらの製品を完全に避けるべきです。
このように、エナジードリンクの摂取は一見無害な行為のように見えるかもしれませんが、その背後には多くの健康リスクが潜んでいることが示されています。
したがって、これらのドリンクの摂取に関連するリスクを理解し、適切な摂取量を維持することが重要です。