座っている時間が認知症リスクを高める?:文献から

 

高齢者の間での座って過ごす時間(セデンタリービヘイビア)と認知症の発症との関連を探る研究が、最近のJAMA誌に掲載されました。

 

元論文はこちら→

Raichlen DA, Aslan DH, Sayre MK, et al. Sedentary Behavior and Incident Dementia Among Older Adults. JAMA. 2023;330(10):934–940. 

https://jamanetwork.com/journals/jama/article-abstract/2809418

 

この研究は、David A. Raichlen博士をはじめとする研究チームによって行われ、その結果が人々の関心を引いています。

この研究は、UK Biobankから得られたデータを基に行われました。

参加者は、主に英国に住むコミュニティに住む高齢者で、基本データは2006年から2010年の間に収集されました。さらに、2013年から2015年にかけてのサブスタディでは、参加者は7日間、主に使用する手首に3軸の加速度計を24時間装着しました。

この研究の目的は、座って過ごす時間と認知症の発症との関連を調査することでした。

座って過ごす行動は、エネルギー消費が1.5 METs以下の状態で座ったり横になったりして行う行動と定義されました。

これには、コンピュータの使用やテレビ視聴、運転などが含まれます。

 

研究結果は非常に興味深いものとなりました。

1日に9.27時間座って過ごすことが、認知症のハザード比(HR)が1.08(95% CI, 1.04-1.12, P < .001)であることが示されました。

さらに、1日に12時間座って過ごすとHRは1.63(95% CI, 1.35-1.97, P < .001)に増加し、15時間座って過ごすとHRは3.21(95% CI, 2.05-5.04, P < .001)に増加しました。

この結果は、座って過ごす時間が増加すると認知症のリスクも増加することを示しています。

特に、1日に15時間以上座って過ごすと認知症のリスクが顕著に増加することが示されました。

 

この研究は、座って過ごす時間と認知症のリスクとの間に因果関係があるかどうかを調査するさらなる研究が必要であると結論づけています。

この研究は、高齢者の健康と座って過ごす時間との関連について新しい視点を提供しています。

座って過ごす時間が多いと認知症のリスクが高まるという結果は、高齢者の健康管理において重要な意味を持つ可能性があります。

この研究が示すように、座って過ごす時間を減らすことが、認知症のリスクを減らす一助となるかもしれません。