昔、よく耳にしていた「モーツァルトを聴くと頭がよくなる」という効果を「モーツァルト効果」と呼んでいました。
その話題について、このブログでも取り上げたことがありました。
結論として、クリストファー・チャブリスという研究者が、その効果についての錯覚や思い込みを解き明かしたというお話でした。
けれども、古今東西の研究者は、よほどモーツァルトが大好きなのでしょう。
今度は、新生児のお話です。
元論文はこちら→
モーツァルトの子守唄を新生児に聴かせることで、医療処置中の痛みが和らぐ可能性があるという話です。
100人の新生児が被験者となり、かかとから採血をする一般的な医療処置を受けた際の、痛みのレベルを評価されました。
評価方法は非常に緻密で、赤ちゃんの顔の表情、泣き声、呼吸パターン、手足の動き、そして警戒度を総合的に評価するスコアリングシステムが用いられた。
最高スコアは7点で、このスコアが低いほど痛みが少ないという評価です。
研究の結果、モーツァルトの子守唄を聴かせた赤ちゃんの痛みのスコアが、音楽を聴かなかった赤ちゃんよりも有意に低下していました。
具体的には、音楽を聴いた赤ちゃんの痛みのスコアは処置中に4点で、1分後には0点にまで下がりました。
一方、音楽を聴かなかった赤ちゃんは、処置中に7点、1分後には5.5点、さらに2分後には2点と、明らかに痛みが長引いていました。
この研究が示すのは、音楽が痛みを和らげる効果を持つ可能性があるという点であり、今後は他のオーディオツールが同様の効果を持つかどうかも調査されるべきだとされています。
音楽が心に与える影響は以前から知られていますが、この研究によってその影響が身体にも及ぶことが明らかになりました。
この発見は、音楽が医療現場で有用なツールとしての可能性を秘めていることを示唆しています。
今後、音楽や他のオーディオツールが医療現場でどのように活用されるかは、非常に興味深いテーマですね。
ちなみに、以前の研究で、母親の声を聞くことで早産児が痛みを感じにくくなるという報告があります。