音楽は人の心を明るくしたり、悲しみに寄り添ってくれたり、勇気を鼓舞したりしてくれるものです。
その音楽が、その人の人間関係にも関連しているらしいという研究が報告されました。
「お気に入りの曲は、その人のアタッチメントスタイルを反映する」
元論文はこちら→ Alaei, R., et al. (2022) Individuals’ favorite songs’ lyrics reflect their attachment style. Personal Relationships.
それによると、好きな曲の歌詞は、「アタッチメントスタイル」に密接に関連しているというのです。
「アタッチメントスタイル」という概念は、人が恋愛関係や友情、家族との関係においてどのように感じ、考え、行動するかを分類するためのものです。
大まかには四つのカテゴリーに分けられます。
1. 不安型(Anxious): このタイプの人は、拒絶されることを非常に心配し、関係において多くの安心感を求める。恋人や友達に対して、頻繁に確認を求めることが多い。
2. 回避型(Avoidant): このタイプの人は、感情や親密さを閉ざし、独立を重視する。彼らは、関係がうまくいかないと予想して、そのような状況から逃れようとする。
3. 混合型(Anxious-Avoidant): このタイプの人は、不安と回避の両方の特性を持っている。一方で依存し、一方で距離を置くという、矛盾した行動を取ることが多い。
4. 安全型(Secure): このタイプの人は、関係に対して楽観的な見方を持っている。オープンなコミュニケーターであり、パートナーを信頼する。
これらのアタッチメントスタイルは、幼少期の親子関係に起源を持つとも言われています。
例えば、親が安全な環境を提供してくれた人は、大人になっても安全型のアタッチメントスタイルを持つ可能性が高いのだそうです。
面白いのは、これらのアタッチメントスタイルが、好きな音楽や歌詞にも反映されるということです。
不安型の人は、失恋や別れの歌に共感することが多く、回避型の人は、独立や自由を讃える歌に引かれる傾向があるのです。
では、この音楽がその人の関係スキルにプラスになるのか、マイナスになるのか。
研究者は、それが次の研究課題であると言っています。
個人的には、そこが知りたいところだったんですが(笑)
ともあれ、自分自身のアタッチメントスタイルに気づくことが、この問題に対する第一歩であるとも指摘しています。
つまり、自分の好きな曲が何かを知ること、その歌詞が何を言っているのかを考えることで、自分自身の心の中を少しでも理解する手がかりを得ることができるというのです。
その歌詞に耳を傾け、心に響くものが何かを見つけることで、人は自分自身や他者との関係性について、新しい視点や洞察を得ることができるかも知れません。
とはいえ、音楽はあくまで一つの手段ですし、全ての答えがそこにあるわけではないことを忘れずにいたいですね。