「心理的安全性（psychological safety）」という言葉があります。
これは、自分のアイデアや質問、ミスを率直に述べても、恥をかかされたり、叱責されたりすることはないのだという信念のことを言います。
つまり、間違いを犯したとき、それを隠そうとするのか、それともそれを認めて何が起こったのかを修正して、再びそれが起こらないようにする手段を講じるのか、それができる環境にあるかです。
心理的安全性が確保されている環境では、影響力を持つ人々、つまり意思決定者は一歩引いて、「これは私の権威に挑戦するものだ」「私が作り上げたシステムに挑戦するものだ」「私が利益を得ているシステムに挑戦するものだ」と認識しながらも、提案されるものを尊重しています。
そうすると、新しいアイデアが花開くチャンスとなるでしょう。
あるいは、イノベーションが生まれ、多様性が増すことを意味します。
しかし、心理的安全性を確保するためには、影響力を持つ人々が、自分の経験が絶対的で間違いがないという考えを払拭する必要があります。
私たちはしばしば、自分がどのように考え、行動し、物事を行うのか、他の人も同じように考え、行動し、物事を行うものだと思い込んでいるものです。
しかし、影響力を持つ人々は、他の人が物事を行う方法、考える方法、信じる方法、代替的なアイデアを持つことを、認識していないことが多いのです。
そして、そのような人が一歩引いて、「ちょっと不満だが、意見は聞く」という態度を示すとき、変化が生まれます。
心理的安全性を確保するためには、アクティブリスニング、つまり他の人が何を言っているのかを本当に理解しようとすることが必要です。
自分の信じてきたこと、やり方、アイデアが挑戦されると、これまで経験したことのない不確実性が生じて、自分が慣れ親しんだ能力やシステム、構造に対する疑問が生じてしまいます。
これがネガティブな反応を引き起こす原因です。
不快感を受け入れて心理的安全性を確保することは、全体の成長と進歩のために不可欠なのです。
