「セロトニン」は、多くのメディアで「幸せホルモン」として知られています。
このホルモンは心の安定を支える脳の物質の一つで、心と体の平穏を促進し、幸せを感じる能力を高めると考えられています。
さて、セロトニンと攻撃行動、この二つの組み合わせは意外に複雑です。
ある研究者たちは、過剰な攻撃行動を引き起こす際に、セロトニンの放出が増えることを発見しました。
「増えるって?減るの間違いじゃないの?」という声が聞こえてきそうです。
それもそうです。以前から「セロトニン欠損仮説」が有力でしたから。
セロトニン欠損仮説とは、セロトニンの量が少ないと攻撃行動が過剰になるという考え方です。
セロトニンの働きを考えれば、そう考えるのが妥当ですね。
しかし、この研究によれば、過剰な攻撃行動の最中には、セロトニンのニューロンの活性が上がることがわかりました。
これは、セロトニンが欠損しているわけではなく、適切な量が必要であることを示しています。
多すぎても少なすぎてもいけないのですね。ちょうど良いバランスが求められるのです。
この研究の目的は、適切な攻撃行動がどうして過剰になってしまうのかを理解し、それを元の適切なレベルに戻す方法を見つけることです。
将来的には、人々の間で問題になっている暴力やドメスティックバイオレンスなどの問題に対して答えを見つけることができるかもしれません。
それが解決できればどんなに素晴らしいかと、期待をふくらませずにはいられません。