内蔵時計: 心臓の拍動が創り出す「時間のしわ」

 

当然ですが、心臓は、ヒトの体内で特別な存在です。

最近の研究によれば、心臓は血液を体中に送り出すポンプというだけではなく、私たちの時間認識に影響を与える「時計」のような役割を果たしているということがわかりました。

 

元の論文はこちら→

Saeedeh Sadeghi et al. Wrinkles in subsecond time perception are synchronized to the heart. Psychophysiology. 2023 Aug;60(8)

 

コーネル大学の研究者たちは、心拍の長さが私たちの時間の認識を変えることを発見しました。

これは、心臓が「ティッカー」として知られる理由をさらに強化するものです。

「ティッカー」とは、心臓のリズミカルな拍動を指し、それが一種の「内蔵時計」として機能することを示唆しています。

 

研究者たちは、18歳から21歳までの45人の被験者を心電図(ECG)マシンに接続し、それぞれの心拍とその間のスペースをミリ秒単位で測定する実験を行いました。

そして、心電図をコンピュータに接続し、各心拍で80-180ミリ秒続く音(トーン)を再生しました。

このトーンは、心拍のリズムに合わせて短かったり長かったりする音のことを指します。

心拍が短かった後には、被験者はトーンが実際よりも長く続くと感じました。

逆に、心拍が長かったときには、トーンが短かったと感じたのです。

これは、心拍の微妙な変化が私たちの時間認識に直接関連していることを示しています。

研究者たちはこれを「時間のしわ」と呼び、心拍が私たちの時間の感覚を作成するのを助ける「純粋な影響」が存在すると結論付けました。

 

この発見は、心臓が私たちの時間認識に影響を与える重要な役割を果たしていることを示しています。

また、私たちが時間を感じる方法に新たな視点を与えてくれるものです。