夢と無意識。
これらの言葉には、人間の心の奥底に潜む謎と魅力が詰まっています。
河合隼雄さんの著書『無意識の構造』から、この興味深いテーマについて考えてみたいと思いました。
夢は、眠っている間に無意識が活性化され、その動きを意識が把握し、記憶したものとされています。
ユング派の心理療法家たちは、夢分析を非常に重視しており、患者さんに夢を記録して持ってきてもらって、それを素材にカウンセリングをすすめていきます。
夢の中には、無意識の深層にあるものを探るヒントが隠されているのです。
ユングの定義に従うと、自己は心全体の中心に存在し、意識化することが不可能なものとされています。
自己実現というものは、意識の主体としての私だけが満足することではなく、心全体が満たされるということ。
多くの人が誤解しがちですが、他人との関係なしに自己実現は語れないのです。
ユングは世界中の神話や昔話、おとぎ話などを調べ、人が普段見る夢や患者さんの幻覚などとの共通点を見出しました。
全人類共通の無意識である普遍的な原型があるという仮説を立て、夢はこの原型の働きによるところが大きいとしています。
夢と無意識の関係は、深海よりも奥が深く、宇宙よりも広大なのですね。
それこそが、人間の心の奥底にある謎を解き明かす鍵となるかもしれません。
河合さんの解説やユングの心理学が、この複雑で美しい世界を理解する助けとなるでしょう。
興味のある方は、河合隼雄さんの著書を手に取ってみることをおすすめします。
夢の中に隠された自分自身の深層心理を探る旅に出かけるきっかけになるかも知れません。
最後に、日本人の意識の構造や無意識のあり方が西洋人と異なることにも触れられています。
また、古いものの中に全く新しいものを発見することも可能であると思われる、と述べています。
この一冊で、私たち日本人という存在の無意識の中に漂う自己を捉えたくなる一冊でした。