顔 パレイドリア

 

うっすら暗闇の中で、天井や壁の模様が、人の顔に見えてしまってゾッとした…という経験をしたことはありませんか?

実は、この現象に名前があるのです。「顔パレイドリア」と呼びます。

パレイドリアは、雲が羊に見えたり、音のパターンが言葉に聞こえたりする現象のことで、顔に関して言えば、見るものを瞬時に顔と認識するという特性があります。

この特性は、人類の進化における社会的側面が作り上げたものだと考えられています。

つまり、顔というのは、その人の感情や意図を理解するための重要な手がかりの一つだからです。

顔から得られる情報を迅速にキャッチする能力は、生き延びるための重要なツールなんですね。

しかも、この顔を見つけるためのツールは、他の物体を認識するのに必要な時間よりも圧倒的に短く、ほんの一瞬で働くことがわかっています。

想像してみてください、心拍を数えるのと同じ速度で、脳は顔の情報を取り込み、分析し、解釈するわけです。

ところが、この働きが余りにも活発だと、どこにでも顔を見つけてしまうことになります。

ノイズ画像にも実際には存在しない顔を見つけることもあって、人々はしばしば三つの点を見ると顔だと認識してしまいがちになるのです。

三つの点というのは、眼と口に見立てているのですね。しかも、人はこのただの三つの点だけで性別、年齢、感情まで割り当ててしまうこともあります。

「悲しげな若い女の人がこちらを見ている!」

そうなると、まるでホラーです。

まあ、その程度のことは、そんな錯覚が害となることはほとんどないのですが、むしろ本当の顔を見逃すことが問題になるようです。

なので、脳は早急に偽の顔と本物の顔を区別するために働きます。研究によれば、これは他の非顔視覚刺激を認識するのと同じくらいの時間で行われるとのことです。迅速に顔を見つけ、やや遅れて顔でないことがわかる、というところでしょうか。

「ギョッ!顔?…あ、なぁんだ。ただの模様か(ホッ)」

確かに、そんな経験をよくしてますね。

ところで、顔パレイドリアはヒトだけでなく他の霊長類にも見られ、これは社会性霊長類の脳の深層部に根ざした現象である可能性が示されています。

もしも普段の生活で突然顔を見つけたら、それは脳が一生懸命働いてくれている証拠だということですね。

単なる怖がりというわけではなく、脳の活動が良好なだけなのかも知れません。

 

 

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