「生活」とは、日々大小さまざまな課題に立ち向かうことですね。
そのひとつに、私たちのリズムを乱し、その日の予定を台無しにしかねないのが「片頭痛」です。
一日中消えない頭痛、混乱、疲労、激しい吐き気などの症状に悩まされ、仕事や家庭生活が脅かされます。
その影響は、日本だけでも15歳以上で約840万人、15歳未満を含めると約1000万人とも言われていて、一般の健康問題としての影響は無視できません。
私たちの片頭痛に対する理解は時間と共に進化してきました。
かつて片頭痛は女性の神経症と考えられていましたが、1960年代に有効な治療法が開発されてから、その考えは少しずつ改善されてきました。そして今は、片頭痛はただの頭痛以上のもの、脳の疾患として理解されています。
研究の進展により、片頭痛が神経炎症による一連の過程として理解され、その程度は人それぞれ異なることが明らかになりました。年に数回しか発作を経験しない人もいれば、毎日、あるいはほぼ毎日頭痛に苦しむ人もいます。
現在、片頭痛は慢性疾患として認識されています。高血圧や糖尿病と同様に適切な治療と管理が必要であると理解されています。治療法は個々の状況に応じて異なり、全ての人に対して最善の治療法があるわけではありません。
片頭痛と生きるということは、片頭痛という存在を受け入れ、それと共存するための最適な方法を見つけることです。
これは長い旅のようなものであり、新たな課題と向き合いながら前進する必要があります。
しかし、その先には新たな理解と認識を必要としています。
頭痛→鎮痛薬と短絡的に対応するのではなく、それが繰り返される片頭痛なら、頭痛外来を設けている医療機関の受診をおすすめしているのは、そういう理由があるからです。