谷川俊太郎「ぺ」

 

 

詩人がショートショートを書いたら、どうなるかという作品集です。

思想の実験?言葉のトリックプレイ?

とにかく不可解で不思議な世界が広がっていきます。

ネットでは、こんな紹介をされていました。

 

「ペ」は「ペ」であり、「ペ」いがいのなにものでもない。が、それにしても「ペ」とはなにか? 液体、気分? 女、男? 哲学、心象? 食べ物、道具? 天使、野兎? 「ペ」と遭遇したことはありますか? 「ペ」と話したことはありますか? ……卓抜なアイディアと詩人の言葉が拓く小宇宙。「花の掟」「墜ちた男」「エデンの園」「緑色の蝶」など、意外な展開と絶妙の結末がしかけられた、23編のショートショート集。

 

例えば、次のような箇所があります。(「堕ちた男」より)

 

「彼は詩人だった。そして彼は高所恐怖症だった。/彼は詩人であるにもかかわらず、高所恐怖症だったのか、それとも詩人であるが故に高所恐怖症だったのか、それともまたただ単に、彼は詩人であり、かつ高所恐怖症だったのか、そこのところは私にはよく分からない。」

 

もうこういう言い回しに私は弱いのです。ほれぼれします。

「ぺ」のことについて、同じように書こうと思っても、もちろん書けるものではありません。

さすが「詩人」です。