「諸悪莫作 衆善奉行」

 

法句経(ダンマパダ)の183は、次の偈です。(中村元訳)

183 すべて悪しきことをせず、善いことを行い、自己の心を浄めること。―これが諸の仏の教えである。

 

これは七仏通戒偈の中にも出てくる教えで、これに相当する言葉が次のようなものです。

諸悪莫作(しょあくまくさ) 

衆善奉行(しゅぜんぶぎょう) 

自浄其意(じじょうごい) 

是諸仏教(ぜしょぶっきょう)

 

これに、こんな逸話があります。

唐の時代、白居易という詩人が、ある日、道林禅師に「仏教の大意とは何か」と尋ねます。

すると、道林禅師は「諸悪莫作 衆善奉行」と答えます。

すなわち「悪いことをするな、善いことをせよ」ということです。

白居易は「そんなことは3歳の子どもでも知っています」と反発しますが、道林禅師は「3歳の子どもが知っていても、80歳の老人でもこれを実行することは難しい」と答えます。

 

確かに知っていても実行することは難しい。

しかも、「善悪」の基準がわかりにくく、判断が難しい世の中です。

何が悪くて、何が良いことなのか。狭い視野に陥ることなく、身近なことからコツコツと生活を重ねていくしかないようにも思います。