ノコギリのたとえ

 

中部経典「マッジマ・ニカーヤ」の中の「鋸喩経」の中には言葉を発するときの注意点が挙げられています。(「怒りの無条件降伏:中部経典『ノコギリのたとえ』を読む」アルボムッレ・スマナサーラ著より)

  • 時機に(語る)、もしくは、非時機に(語る)。根拠に基づいて(語る)、もしくは、虚実を(語る)。柔和に(語る)、もしくは、粗暴に(語る)。有益に(語る)、もしくは、無益に(語る)。慈しみの心で(語る)、もしくは、怒りで(語る)

そして、言葉を発する心のあり方として、次の戒めを説いています。(同上より)

  • 私の心は、決して、動揺しないのだ。また、悪しき言葉を、私は発さないのだ。また、こころ優しい者として、慈しみの心の者として、怒りのない者として、私は生きるのだ 

言葉を発するときの五つのポイントをまとめると、以下の通りです。

  1. 時機は相応か
  2. その言葉は慈しみに満ちているか、憎しみに満ちているか
  3. その言葉は事実であるか、事実でないか
  4. その言葉は有益であるか、無益であるか
  5. その言葉は柔和であるか、乱暴であるか

仏教には「八正道」があり、「正語」がありますね。

また「五戒」にも「不妄語」があります。

言葉は、それほど重要視されているものですし、言葉を調えることは人格を調えるのと同一の価値があります。

なかなかに難しい歩みですが。