映画「ノマドランド」

 

映画「ノマドランド」を動画配信で見ました。

 

『ザ・ビートルズ:Get Back』を観るために昨年末にディズニープラスに入会したのですが、それだけではさすがにもったいないので、他の映画を物色していて、ちょうど「ノマドランド」が目に留まったものです。

 

この映画は、昨年度のいろいろな映画賞を獲得したのを知っていましたし、サムネも名作の雰囲気を漂わせていたので、すぐに飛びつきました。

割と軽い気持ちで臨んだのですが、初めて観るような映画でした。

 

架空の物語とドキュメンタリーが境界なくそこに実在しているのです。

 

公式サイトのストーリー紹介よりも、ウィキペディアの方がわかりやすかったので、そこから引用しますね。

 

2008年、アメリカの大手証券会社の破綻に端を発する未曾有の経済危機が全世界を襲った。その影響は現役世代だけではなく、リタイア世代にも容赦なく降りかかり、多くの高齢者が家を手放すことになった。家を失った彼/彼女らは自家用車で寝泊まりし、働く口を求めて全米各地を動き回っていた。専門職での経験があったとしても、それを活かせるような職がほとんどなく、安い時給で過酷な肉体労働に従事するほかなかった。そんな不安定な状況下でも、彼/彼女らは自尊心と互助の精神を保持し続けていた。彼/彼女らは「現代のノマド」とでも言うべき存在である。

本作の主人公、ファーンも「現代のノマド」の1人である。ファーンはネバダ州のエンパイアで臨時教員をやっていたが、工場の閉鎖で街の経済が大打撃を受け、そのあおりで彼女も家を手放す羽目になった。途方に暮れたファーンだったが、自家用車に最低限の家財道具を積み込み、日雇いの職を求めて全米各地を流浪する旅に出た。その過程で、ファーンは同じ境遇の人々と交流を深めていくのだった。

本作はそんなファーンの姿を通して、「現代のノマド」の実像を描き出していく。

 

 

「老後はキャンピングカーで、日本中を旅しながら暮らしたい」なんてことを、一昔前のわれわれは、憧れを抱いて言っていたものです。

それはとんでもない間違いでした。現実は厳しいものです。

主人公のファーンは、フランシス・マクドーマンドが演じる架空の人物です。ファーンと彼女に絡むデイヴ(デヴィッド・ストラザーン)の2人だけはプロの俳優さんです。

しかし、そのほかの登場人物は、実際に車上生活を送っている人々が本人自身として出演しています。

ですから、脚本のあるドキュメンタリーと言っていいのかも知れません。

ファーンの体験を通して、私たち観客は車上生活の現実を体験することになります。

ファーンが、温かい定住の場所を差し出されながら、再び独り黙って旅立つシーンは、この映画のクライマックスと言えるでしょう。

感動というにはちょっと違う、今まで意識したことがなかった問題をつきつけられた、衝撃を受けた映画となりました。