1828年の冬、良寛さんが71歳の時、新潟で1500人以上の死者が出る大地震が起こりました。
幸いにして、良寛さん自身は無事だったのですが、子供を亡くした山田杜皐に送った見舞い状の一文です。
地震は信に大変に候。野僧草庵は何事もなく、親類中死人もなくめでたく存じ候。
うちつけに死なば死なずに長らえてかかるうき目を見るがわびしさ
しかし災難に逢う時節には災難に逢うがよく候
死ぬ時節には死ぬがよく候
是はこれ災難をのがるる妙法にて候
私たちがどんなに手を尽くしても変えられないものはあります。
災難に逢う時は逢うし、死ぬときは死ぬしかない。
子どもを亡くした人への言葉としては、突っぱねているようですが、良寛さんの言葉は仏教の教えそのままです。
「人として生まれたからには誰も生老病死からは逃れることはできない。あるがままを受け入れて、その時自分ができることを一生懸命やるしかない」
どんな状況でも、今そこに存在している自分をいっぱいに生きる。
災難に逢う時節には災難に逢うがよく候
この言葉は、励ましというよりも、今を生きる覚悟を奮い立たせてくれます。