アルバム「マッカートニーIII」

 

ポール・マッカートニーは、作詞・作曲・アレンジをし、そのうえ一人で楽器を演奏し、コーラスも全部一人でやってのけたという「マッカートニー」「マッカートニーⅡ」などの「マッカートニー・シリーズ」のアルバムがあります。

 

「マッカートニー」を製作した時は、1969年。ビートルズの事実上の解散に直面したポールは、スコットランドの農場に引きこもることになります。

精神的にすっかり打ちのめされたポールは、一日中部屋にこもり、毎日酒に溺れるほどでした。妻であるリンダ・マッカートニーのおかげで立ち直ったポールは、曲作りをはじめます。

前述のようにポール一人で演奏してレコーディングをしたのが「マッカートニー」。1970年のリリースです。

今でこそ「宅録」が当たり前になっていますが、当時それをしたポールは、やはり先駆者でもあったわけです。

 

「マッカートニーⅡ」は、それから10年後の1980年リリース。

空中分解のようなウイングスの解散のあと、やはり自宅スタジオにこもったポールが一人でレコーディングしたものでした。

 

そして、今回2020年12月にリリースした「マッカートニーⅢ」

前2作同様にワンマン・レコーディングにより制作された作品で、コロナ禍のなかロックダウンのなかで作られました。

ポールのインタビュー記事にはこうあります。

「ロックダウン中は家族と一緒に農場で生活していて、毎日スタジオに通っていたんだ」

「僕は毎日、楽器を演奏しながら自分の書いた曲をレコーディングし、そこに様々なレイヤーを重ねていく作業を始めた。本当に楽しかったよ。仕事のために取り組むのではなく、僕自身のために音楽を作っていたわけだ。だから、自分の気まぐれでやっていたに過ぎなくて、これがアルバムになるとは思ってもみなかったよ」

 

それにしても、ポール・マッカートニーはいくつになってもポール・マッカートニーなんだと思いました。

かっこいい音がひたすら反復していくのは、ビートルズの空気感が広がっていくようです。