「批判したくなる相手の役に立つ」
ナイチンゲールが残した言葉です。
彼女自身の経験から、「人に対する批判的な心をやわらげる最良の方法は、自分が批判している相手の役に立とうと努めること」なのだと語っています。
どういうことでしょう?
文章をよく吟味してみますが、「批判したくなる相手」と「その相手の役に立つ」が結びつかなくて、思考回路が軽くショートを起こしてしまいました。
そんなことできるのか?という気持ちの方が強いです。(あるいは、そんなことしたくないという抵抗の感情も混じっています。)
容易く理解できる言葉ではありませんが、彼女が到達した、きっと高い境地からのお話なのでしょう。
一般的に、批判したくなる相手に対して、程度の差こそあれ、攻撃的な言葉を浴びせたくなるものです。正論をぶつけ、対立の立場を明確にします。
批判の対象は、「私」の価値観からずれているでしょうし、あるいは「私」の邪魔をしたりするものです。
「なんでそんなことをするの!」
「せっかくうまくいっているのに、邪魔をするな!」
確かに、その時の「私」の心は穏やかではありません。
ナイチンゲールの言葉をおさらいしてみます。
「人に対する批判的な心をやわらげる最良の方法は、自分が批判している相手の役に立とうと努めること」
彼女が言っているのは、「批判の相手」を「私」が思うように変える方法ではなく、あくまでも「相手に対する批判的な心をやわらげる方法」なんですね。
「自分の心をやわらげる」が、目的です。
古今東西で言われているように、「相手を変えることはできない。変えることができるのは自分の心だけ」です。
けれども、攻撃的になってしまった自分にストップをかけて、変えるのは難しいことです。
その時に、最良の方法なのが、「相手の役に立とうとつとめること」なんだそうです。
これは経験しなければ、なかなか実感できないものですね。私にとっては、ちょっと想像するのも難しいかも知れません。
なにしろ、相手の役に立とうとするには、ある程度の「共感」が必要になってきますから。
「批判を共感に」
私には修行レベルです。