特に中高年の男性の方に多い気がします。
いわゆる「ビョウイン・ウトゥルゥ」の方です。
直訳すれば「病院を怖がる怖がり屋さん」ということになりますが、今日、筋金入りの「ビョウイン・ウトゥルゥ」の方が受診してきました。
もちろん、付き添いの人に連れられての受診です。(1人では怖くて受診できません。)
こういう方は、「医療者に何をされるかわからないから怖い」という訳ではなく、純粋に「病気が怖い」のです。
今まで何も知らずに過ごしてきた(幸せな?)時間が、医者に病気を宣告されることで生活がガラッと一変してしまうに違いない。そんな得体の知れない「病気」が怖いのです。
ですから、医者の言う言葉を聞きたくないという態度を隠しません。
「どこか痛いところ、ありませんか?」
「大丈夫」
「紹介状には膝を痛がっているって書いてますよ」
「大丈夫」
付き添いの人が患者さんの後ろから、患者さんの視界に入らないように、首を激しく横に振っています。必死のアイコンタクトで
(違いますよ、先生、大丈夫じゃないですよ。痛いって言ってますよ。)
と伝えてきました。
こういう方は何を聞いても「大丈夫」としか答えないのはわかっているので、より丁寧な診察が必要になってきます。
怖がっている対象の正体がはっきりするまでは、医者の言葉は場合によっては刃物になることを肝に銘じておかなければなりません。
場を和ませようとした軽口が、思いがけず傷つけてしまうことがあります。
せめて次回の外来の予約が、今回よりはストレスにならないようにできれば、大成功です。