絵本「はんなちゃんとへんちくりん」

 

私のクリニックでは小児科を対象とする年齢の児童は診療していません。

小児を診ることのできる内科医の先生はいますし、「熱もあるのだから診てほしい」とお願いされることもあるのですが、私は私が診るべきではないとお断りしています。

研修医時代、沖縄県立中部病院で一般医、救急医として研修を積み、実際に各県立病院の夜間救急や離島診療所の代診で小児診療をしてきましたが、だからこそ、その責任の大きさを痛感しているからです。

よく言われることですが、小児科と内科とは根本的に違います。

子どもは大人の単純な小型版ではありません。

理解されない方も多いかと思いますが、内科医としてお願いしています。

 

 

さて、そういう私が取り上げるのもどうかと思ったのですが、大人にも心に刺さるのではないかと紹介したい絵本がありました。

 

 え・はんなばあば、ぶん・はんなぱぱ

 

ネットにあった内容紹介を掲載しますね。

子どもをお医者さんに連れて行く時の読み聞かせ絵本は、ありそうで、なかった絵本です。
なぜ、お医者さんのところに行くのか? なぜ、注射を打たれるのか? どうして痛いのか――?
子どもに嘘をつかずに、検査や治療を受けることをきちんと納得してもらうための一冊です。

お子さんの体調がすぐれなかった時、お医者さんの診察を受けることは誰もが経験することでしょう。
診察のなかで、注射や浣腸が行われ、医療機器を使った精密検査やカテーテルなどの処置が必要なこともあります。
そんな時、お子さんにどのように説明していますか?
「大丈夫。なんともないから……」
「すぐ終わるからね」
「痛くない。全然痛くないからね」

と、その場をやりすごす言葉を発していることはありませんか?
けれど、結果として「嘘」となってしまったことはありませんか?
子どもは、状況がよくわかっているそうです。
だから、お子さんに嘘の説明をすることなく、本当のことをやさしく伝えてあげたいものです。

「体のことが心配なの。だから、お医者さんに診てもらうからね」
「少し時間はかかるかもしれないけれど、きちんと調べてもらおうね」
「痛いかもしれないけれど、少し我慢しようね」

それが、子どもの心を裏切らないお子さんの支え方のひとつかもしれません。
絵本「はんなちゃんとへんちくりん」は、お医者さんにかかることになったお子さんと
家族がともに頑張るための読み聞かせ絵本です。(本書カバーより)

 

作者であるはんなちゃんのお父さんの言葉が素晴らしいと思いました。

「症状のことを客体化して、追い出すべき対象を作ろうと思ったんです。はんなのためだけでなく、自分たちにとっても」

「はんなの反応を見て、これでよかったのかもしれないと思いました。この瞬間から、はんなにとっても、僕と妻にとっても、通院という先の見えないつらい体験が、『ちくりんを追い出すまで頑張る』という、目的のあるストーリーとして形をとったように感じられたからです」

これは、大人の私たちも無意識に行っている知恵です。

改めて、意識化させてくれる絵本として、大人にとっても良い絵本だと思いました。

 

 

 

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