「ブラウン神父の童心」

中学生の頃に読んだつもりでいて「懐かしいな」と思って手にしたのですが、読んでみて一向に懐かしい感じがせず、新鮮な感じがしました。

ブラウン神父の童心 (創元推理文庫)

忘却の果ての再会の感覚なのか、実は読んだと思っていたのは勘違いだったのか、冷静に分析すると、当時私が読んでいたのは、恐らくジュニア版というか少年向けに編集されていたものだったのかも知れません。

全く「初めて」とするには「ブラウン神父」という呼び名に、どこか贔屓を応援するような感覚が残っていますし、短編の小気味よいリズムには、やはり懐かしい感じがつきまとっているからです。

けれども、内容はというと、全く忘れていました。

読むと歴史が感じられます。間違いなく古典です。

初登場が1910年の「青い十字架」

ちなみにシャーロック・ホームズの初登場が1887年の「緋色の研究」ですから、ホームズの方が古いのですが、ホームズはとにかく息が長く、1927年の「ショスコム荘」まで活躍していますから同年代とも言えます。

捜査の方法や手段などは、シャーロック・ホームズが卓越した観察力と物的証拠による推理の構築で、現在の科学的捜査の礎をなしたといえるほどであるのに対して、ブラウン神父は直感と洞察力、そして、神父という職業柄、様々な犯罪者の告解を聞き取っているため、あらゆる犯行手口に通じているという「知恵」を駆使します。

「なぜ神父であるあなたがそのようなことをご存知なのですか?」

その知識の量は、相手を驚愕させることがしばしばです。

名探偵が神父であるという必然が、この「ブラウン神父」の世界では、あちこちで披露され、読者を魅了していきます。

読み進むうちに、段々と思い出してきました。

私の好きな「ブラウン神父」です。

 

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