イッキ読みしてしまいました。
「何者か」になる前の途中の人たちは、自分たちが宙ぶらりんであり、まるで足場がない呪いの中で生きているかのようです。
最終的に見事に「何者か」になった人は、当時のことを「あの頃のこと」として回顧することができるのでしょう。
しかし、目指す「何者」ではなかったにしても、当初の夢をあきらめ、違う道(形)で「何者」かになっていく。人は常に何者かになりつつあるものです。
けれども、「何者にもなれなかった」人の中には、呪いの中に過去を温存したまま、現在まで連続して生きていかねばならない人たちもいます。
ツチヤタカユキという人物が、まさにそんな不器用にしか生きられない男性でした。
この本を書いた後に、もしかして自ら命を断ったのではないかと、心配してネットで調べたほどです。
それほど、赤裸々に綴った彼の文章は、遺書のようでもあり、鬼気迫るものがありました。
1988年生まれということですから、まだ30歳なのですね。
人としての経験を積んでもらって、彼が50歳になった時の文章を読んでみたいと思いました。
夢のつづきの彼の「物語」を、ぜひ綴ってほしいです。