「窮鼠猫を噛む」という故事があります。
ネズミでも追いつめられれば猫に噛みつくことがある。
絶体絶命の窮地に立たされれば、弱い者が強い者にたてついたり、負かすこともあるということ。
だから、相手がどんなに弱そうに見えても、逃げ道のないところに追いこんではいけないという教えとして紹介されています。
出典は「塩鉄論・詔聖」。
漢の時代に賢人を集めて編纂した書物で、その内容は道徳論ではなく、実社会に生きるための知恵が集められたものだとのことです。
原文は「死すれば再びは生きず、窮鼠猫をかむ」
「死にものぐるいになっている鼠は、死んだらもう生きかえることはないのだと、最後の力をふりしぼって戦う」
上記のように「追いこんではいけない」と紹介されていることが多いので、この故事はネコ側の視線で語られることが多いのですが、原文は読み手をよりネズミ側としていますね。
もっと真剣におやりなさいと諭しているようにも読めます。
窮鼠のように、真剣味をもってことにあたりなさいという励ましのようでもあります。