詩 「落ちこぼれ」

茨木のり子さんの詩には、時に自嘲気味でありながら、気持ちを鼓舞してくれるようなところがあります。

この「落ちこぼれ」もそのうちのひとつです。

 

最後の1行に想いが凝縮しています。

 

落ちこぼれ

 

落ちこぼれ

 

落ちこぼれ

  和菓子の名につけたいようなやさしさ

落ちこぼれ

  今は自嘲や出来そこないの謂

落ちこぼれないための

  ばかばかしくも切ない修業

落ちこぼれこそ

  魅力も風合いも薫るのに

落ちこぼれの実

  いっぱい包容できるのが豊かな大地

それならお前が落ちこぼれろ

  はい 女としてとっくに落ちこぼれ

落ちこぼれずに旨げに成って

  むざむざ食われてなるものか

落ちこぼれ

  結果ではなく

落ちこぼれ

  華々しい意思であれ

 

 

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