柳田邦男著「元気がでる患者学」には、勉強になる箇所がたくさんあります。
今回、紹介したいのは「診療の受け方10ヶ条」についてです。
人は調子が悪くなったり異常を感じて心配になって病院を受診するわけですが、いざ診察室に入ると医師と向き合うことになります。
「どうしました?」
と訊かれて、「頭が痛い」とか「関節が痛いのでリウマチが心配」と切り出して、どんなにその症状がつらいかを伝えようとすると、おそらく医師の「いつから?」とか「どの場所?」「どんな感じ?」とか質問の集中砲火を浴びることになってしまいます。
人によっては質問に答えるうちに、「あれ?私、そういうことで病院に来たんだったっけ?」という話の流れに戸惑いながらも、後ろにたくさんの患者さんたちが待っていることもあって、自ら「まあいいか」と話を端折ってしまうこともあるかも知れません。
患者と医師がよりよい医療のために情報を共有しあうには、患者側にも必要最低限の10項目の心得があるというのです。
以下の10項目です。
1)自己紹介をフルネームで
これには3つの理由があると言います。
(1)同姓の他の患者との人違いを防ぐ
(2)自分のことを人格をもったひとりの人間として診てほしいというメッセージをこめるため
(3)患者と医師の間に信頼関係を築く最初の扉を開く意味をもつ
2)医師の氏名・専門を確認する
3)症状などはあらかじめメモを
自分の症状と経過、不安なこと、解決したい疑問などは、あらかじめ自宅でメモに整理しておく。
そういう準備をすると、医師は診断の焦点を速やかに適切に絞ることができて、面接を有効にすすめることができる。
4)わからない点は何度でも聞く
5)説明の大事な点はメモを
6)出された薬に間違いはないか
7)重大な説明のときは、別途時間を
8)セカンドオピニオンのすすめ
9)自分の「リビング・ウィル」を伝える
10)医療にも限界があることを「知る」
これには著者の文章をそのまま引用させてください。
どこかで、病気に勝てない時が来る。もはやこれ以上は病気の進行を止められないという時が来るのだ。しかし、それは生物学的な生命の勝敗の次元であって、精神的ないのちまでが敗北したことではない。「身体がダメな分だけ、心が豊かになりたいものだ」という生き方が問われる段階に入ったことを意味するのだ。
「生き方」について追及する段階に入ったのだと、著者は言っています。