今回の日本内科学会学術集会「内科学の展望」は、私の日常診療で診る疾患とはやや分野が違っているとはいえ、非常に勉強になりました。
テーマが「がん死亡急増時代の内科診療を考える」
プログラムは3部構成でした。
1部:がんの基礎研究がもたらしたもの
2部:がんの診断と治療はここまで進んだ
3部:がんのケアを考える
それぞれのエキスパートの先生たちが最新の知見と、自らの情熱と哲学をもって講義してくださいました。
日本は以前からがんによる死亡が1位であり、約3人に1人ががんで死亡する時代なのだそうです。
そして、そんなポピュラーな疾患でありながら、今もなお偏見と誤解がはびこっているのだということでした。
がんは治療方法が日進月歩で進歩しています。
ある種のがんでは治療がある程度可能になった現在は、社会復帰を果たしながら、がんを背負って人生を歩む人たちが多くなっています。
個人的には、最後の演目「社会ががんと向き合うために、私たちにできること」を発表されたNPO法人キャンサーネットジャパンの川上祥子さんと医療向上委員会広報大使秋山ありすさんのお話を興味深く拝聴しました。
「キャンサー・ネット・ジャパン」がどんな団体なのか、そのホームページからミッションとビジョンを紹介しますね。
「私たちのミッション(使命)は、がん患者が本人の意思に基づき、治療に臨むことができるよう、患者擁護の立場から、科学的根拠に基づくあらゆる情報発信を行うことです。」
「私たちのヴィジョン(夢)は、がん体験者・家族・遺族、その支援者、医療者と共に、日本のがん医療を変え、がんになっても生きがいのある社会を実現することです。」
秋山ありすさんは、配布された資料によると
現在医学部5年生でありながら、福岡発アイドルグループLinQのメンバーとしても活躍中。
自信の立場を活かし、医療と音楽、一般の人々を繋ぐ架け橋「メディカルアイドル」として、2014年より日本肺癌学会 肺がん医療向上委員会の広報大使に就任。
今年11月に京都で開催された第55回日本肺癌学会学術集会でも、LinQとしてライブを披露したり、学術集会の集大成となる「京都宣言」に登壇した。
一見、相容れないようにみえる世界をエンターテイメントで繋ぐ。とても面白い試みだと思います。
これもひとつのEBM(Entertainment Based Medicine)だと紹介されていました。
下の動画が、その時の「京都宣言」です。
秋山ありすさんは、市民の立場から「肺がん医療に関する正しい情報を発信し啓発活動に取り組みます」と宣言されています。
6分11秒あたりから。