こんな話を聞いたことはありませんか?
クレタ人のある男が言った。
「クレタ人はみんな嘘つきだ。」
さて、彼は真実を話しているのか? それとも嘘をついているのか?
クレタ人のある男とはクレタ島出身の哲学者エピメニデスのことです。
嘘つきのパラドックスとして有名です。
ただし、この話は解釈次第では矛盾が生じないとする説もあって、私としては次の文章をおすすめしたいです。
「ある人は自分が嘘をついていると言う。さて、彼は本当のことを言っているか、それとも嘘をついているか?」
本当のことを言っているのなら「嘘をついている」と言っていること自体が嘘になって
嘘をついているのなら、「嘘をついている」ことが嘘なので、本当のことを言ってしまっていることになって…
ナントモ堂々巡りになりそうな、つまりは矛盾から抜け出せない状況なんですね。
けれども、こんなパラドックスは現実の世界では教訓として役に立つこともあります。
例えば、「病気が病気を防ぐ。」
パスツールがこのパラドックスを発見したおかげで、ワクチンという発想が生まれたのはご承知の通りです。
相反するもので望ましくないもの。
矛盾するけれども、現実としてそこにあるもの。
これらを「パラドックス」として再発見して面白がってもいい気がします。
これら矛盾の2つを結びつけてしまうことも、解決のひとつの糸口なんじゃないのかなあ。
ふと、そう思うことがあります。