この間の休日に久しぶりに映画を観てきました。
「ゼロ・グラビティ」です。
素直に面白くて、私としては大満足でした。
どうしてもネタバレになってしまいそうなので、お嫌いな方は今日の投稿は読まない方が良いかも知れません。
まずはオフィシャルサイトからあらすじ
地表から600km上空。
すべてが完璧な世界で、誰もが予想しなかった突発事故が発生。
スペースシャトルは大破し、船外でミッション遂行中のメディカル・エンジニアのライアン・ストーン博士(サンドラ・ブロック)と、ベテラン宇宙飛行士マット・コワルスキー(ジョージ・クルーニー)の二人は、無重力空間《ゼロ・グラビティ》に放り出されてしまう。
漆黒の宇宙で二人をつなぐのは、たった1本のロープのみ。
残った酸素はわずか2時間。
地球との交信手段も断たれた絶望的状況下で、二人は果たして無事生還することができるのか…!?
この映画は、細部にわたって監督の想いとこだわりがちりばめられているのだと感じました。
ちょっとしたセリフや小道具。
そして衣装などにも、名作と言われた映画の断片を伺い知ることができます。
ストーン博士が宇宙服を脱いだ下のシャツは「エイリアン」のリプリー(シガニー・ウィーバー)にそっくりでしたし
その後の胎児のように丸くなる姿は「2001年宇宙の旅」の「スター・チャイルド」を暗示していたのでしょうか。
とても印象的な映像でした。
ほかにもスターウォーズを思わせるセリフがあったり、流れているカントリーソングの名前が『Angels Are Hard to Find(天使は見つけにくい)』だったり。
小道具もこだわりがあります。
ロシアと中国の宇宙船のコクピットには、それぞれ「クリストフォロス」のカードと「弥勒」像がありました。
特に「クリストフォロス」は「キリストを背負う聖人」として、旅行者の守護聖人として崇められているものです。
一見、宗教とは無縁の科学技術の結晶である宇宙船に、そのような「縁起物」があることが、なぜか腑に落ちるのでした。
大気圏に突入するサンドラ・ブロック演じるライアン博士の最後の言葉が印象的です。
「このミッションは嫌な予感がしていた。いや、話なんてどうでもいい!
結果は2つしかないわ。無事に生還して奇想天外な話を聞かせられるか、焼け死ぬかのどちらかよ!
どっちだろうと、誰のせいでもないわ!結果はどうあれ、これは最高の旅よ!」
人事を尽くして天命を待つ。
やるだけやって後は托身。
マクトゥソーケー、ナンクルナイサ。
いずれにも通じる実感のこもった言葉でした。
それから、なるほどと思った演出がありました。
一方で「良し」が「悪し」になり、その逆に「悪し」が「良し」になる…。
例えば、パラシュートのロープ。
前半、ロープのおかげでライアン博士は命拾いをします。
ロープが足に絡まり、宇宙に放り出されずに済むのです。
しかし、違う場面ではパラシュートのロープがからまっていたので、脱出ができなくてデブリの衝突にあってしまいます。
「宇宙なんて大嫌い!」ライアン博士が口走った言葉が、共感を呼ぶ場面です。
また、消化器。
火災を消化しようと消化器を不用意に噴出した時、その反動でライアン博士は後頭部をしたたか打ち付けます。
一瞬気を失い、危うく火災に巻き込まれ命を落としそうになります。
その消化器が、最後の最後に推進と方向転換に利用されるのです。
モノの良し悪しは二元論では片づけられないのだというメッセージが込められているのかなとつい深読みしてしまいました(笑)
邦題が「ゼロ・グラビティ」になっていますが
ライアン博士が最後に大地を踏みしめ歩き出すシーンの後に
「GRAVITY」の文字が浮かびます。
これも印象的なラストシーンでした。
[youtube]http://youtu.be/aE6o6WvObKk[/youtube]