鎮痛薬を服用すると、副作用として低血糖発作が出現するというのはよく知られていることです。
たとえば、糖尿病で治療薬を服用している方が、ボルタレンやロキソニンなどの鎮痛薬を飲むと
予想外に血糖が下がってしまい、時に低血糖発作で意識を失うことになるので注意しなければなりません。
しかし、その相互作用を逆手にとって、鎮痛薬を糖尿病の治療につかえないかと再検討した方々がいました。
Salicylate (Salsalate) in Patients With Type 2 Diabetes: A Randomized Trial
Ann Intern Med. 2013;159(1):1-12. doi:10.7326/0003-4819-159-1-201307020-00003
ただし、サルサレートというお薬は日本では発売されていません。
説明では古くからある鎮痛剤のなかのひとつらしいです。
参加者は18~75歳の2型糖尿病患者286例。
1日3.5gのサルサレートを服用したグループと、服用していないプラセボ・グループの2つのグループに分けて48週間追跡しました。
糖尿病のコントロールの指標であるHbA1c(ヘモグロビンA1c)は平均7.0~9.5%でした。
登録の時点で治療薬として投薬されている糖尿病薬や降圧薬、高脂血症の薬は6カ月間は変更しないように継続してもらいました。
48週間後の結果です。
サルサレートを内服したグループはプラセボ群に比べてHbA1cは0.37%低下していたそうです。
なぜか白血球数の減少も認められていて、炎症が改善されたのではないかとのことですが確かではありません。
ただし、サルサレートを服用していたグループには良くない効果も現れていました。
体重増加(わずか1.36Kgですが)とLDLコレステロール値の上昇です。
また、これはよく心配されることですが、腎機能に及ぼす影響もみられました。
腎機能低下を示唆する尿中アルブミン値の上昇も確認されていました。
中止すると、また元に戻る一過性の影響だったようですが、鎮痛剤を使用するうえで腎機能との関連は特に注意を要する問題です。
今のところ、鎮痛薬を糖尿病治療薬とするというよりも
前述のとおり、低血糖発作に注意するように呼びかけることの方が重要な気がします。
1型糖尿病です。リウマチ発病してMTXの効果が出るまで鎮痛剤を人生の中でかつてないほど飲みました。HbA1c下がりました。しかし痛みが薄れ鎮痛剤中止をしたところたちどころに戻りました。ちなみに体重も減ったので多くの影響があると思います。