精密にできている人間の体ですが、気道と消化管の進化の過程で、どうしても不都合なことが起きてしまいました。
それが、「咽頭交叉」と呼ばれるものです。
哺乳類は肺呼吸をしますね。空気の取り入れを鼻で行っています。
空気の通路として上気道は発達してきました。それは水の中から陸へあがっていく途中で進化してきたものです。
ですから、生命起源からあった消化管と比べて歴史は新しいのですね。
古い建物に新しい建物を建て増ししたものの、どうしよう?という感じで廊下を無理やりつけた雰囲気さえあります。
下の図をご覧ください。
上気道は口の後ろ側を通っています。
それに対して、肺を中心とする下気道は前の方、つまり首の前の方を通るようになっています。
咽頭で空気と食物の流れは交叉することになるのです。
間違って入ってしまうリスクがここに生じています。
空気が消化管に入るのは、ゲップしたりすればすむことですが、逆に食べ物が気道に入ってしまうと誤嚥性肺炎を起こしてしまいます。
哺乳類は、そこに軟口蓋や喉頭蓋をはじめとする嚥下の器官を発達させてきました。
ただし、脳梗塞などの脳血管障害による麻痺や神経・筋疾患、加齢による筋力の低下などが原因で嚥下障害が起こることがあります。
嚥下についての動画がありましたので、ご紹介しますね。
具体的な動きを知るのに役立つと思います。